第三話 足袋の名前の由来その3


旅から出た説

足袋屋は現在、東京に20数軒、京都に2軒、大阪に1軒在るのは私も知っています。
その他の地方では足袋を売る店が在る方が不思議なのではないでしょうか。
先日も、鹿児島から東京の大学に受かり、四谷に下宿した大学生が旅館と間違えて入って来ました。
"足袋"と"旅"、同じ発音なので良く冗談やとんちで使われます。
当店の看板に"たびの店 むさしや"と書いてありますので、旅館と勘違いして入って来たそうです。
実は、"足袋"の由来は、この"旅"が語源だと言う話が在ります。
昔、旅に出る時には、素足でわらじを履くと足を痛める為に、特別に、皮(鹿皮といわれています)で出来た袋で足を包んで出掛けました。
わらじを履くのですから当然、指は分かれています。
つまり、足袋は日本独特の、特別の旅行道具だったという訳です。
その名もずばり"たび"と言う事です。
足袋の字は足の袋の文字を当て、こう読んだ訳です。
実物が在れば、鑑定して年代も解かると思いますが、博物館の展示品の殆どは江戸時代までです。
平安、室町時代の足袋の情報が在りましたなら教えてください 。